2012年10月31日水曜日

Pastoral Care

2012年秋学期はPastoral Care(牧会ケア)の授業を履修しています。学ぶ内容は牧会学の中で、メンバーのケアやカウンセリングを中心とした領域で、神学的なアプローチから、専門家による現場で必要となる知識まで、教会を牧会するために必要な様々な知識とスキルを身に着けることができるようになっています。そしてシラバスに記載されているコース全体の目的は以下の内容となります(Pastoral Careシラバスより抜粋)

1. Have a Trinitarian and participatory framework within which to view all pastoral ministry 三位一体の神学および参画型のフレームワークを持ってすべての牧会ミニストリーを俯瞰できるようになります。

2. Be inspired to develop a lifelong, dynamic inter-relationship between theology and the philosophy and praxis of ministry 神学と哲学そしてミニストリーの実践のダイナミックな相互関係を生涯を通じて発展させるきっかけを得ることになります。

3. Be equipped to live and minister in active participation with the triune God and in loving community with His people. 三位一体の神との生きた関係と人々との愛にあふれたコミュニティの中で生き、牧師としての務めを果たすために備えることができます。

4. Have gained an understanding into the essential nature of pastoral care and counselling. 牧会ケアとカウンセリングの本質的な性質の理解を得ることができます。

5. Have given significant thought to facilitating a pastoral care system which enables the whole people of God to care for each other, to keeping active members active 全てのクリスチャンがお互いにケアし、アクティブな人々を励まし続けるための牧会ケアの仕組みを作りこむための重要な思考力を身につけることができます。

6. Have been exposed to several situations associated with caregiving, which should have enhanced his/her ability to relate pastorally to persons in a variety of situations and settings. 牧会ケアの実践に関わるいくつかの状況を経験することができます。それらはさまざまな状況と設定にある人々を牧会者としてかかわるための能力を高めます。

7. Have gained a higher skill level of the essentials of pastoral care and a deeper self-understanding by means of being involved in class role-play situations, in practical ministry situations, and by reflecting practically and theologically about these involvements. クラス内のロールプレイングと実際的なミニストリーの環境に関与し、それらの実践的かつ神学的な振り返りと内省によって、本質的な牧会ケアの高いレベルのスキルと深い自己理解を得ることができます。

全12回の授業の中で、
-カウンセリングの方法と実践
-精神的な病についての学び
-ターミナルケア
はそれぞれ、バンクーバーの公的な機関や教会のカウンセリング部門で活躍されている専門家がゲスト講師として講義を担当して下さり、実践的な内容を学ぶことができるようになっています。

更に、学期末には牧会ケアの「Observation Reports」をまとめる必要があり、1.結婚カウンセリング、2.終末期ケアと葬儀、3.家庭訪問(病気の人々や長期欠席の方々)の3分野について、所属する教会の牧師先生をスーパーバイザーとして、実際に現場に同行してレポートを書くことになっています。

どの授業も牧会ケアに必要な各分野の深い学びができるので、秋学期の中ではとても楽しみにな授業になっていますが、その中でも特に勉強になったカウンセリングの授業について紹介させて頂きます。 カウンセリングと言っても、精神科医や臨床心理士のような専門家が行うようなカウンセリングではなく、教会内での牧会ケアの範囲にとどまる形でのカウンセリングについて学びました。授業の初めに、4つのカウンセリングのレベルを定義し、そのうち3つのカウンセリングについて、牧会ケアの視点からどのように行うかについての講義でした。













このように定義を明確にすることで、どこからどこまでのケアを牧会の範囲で行うべきか、教会の状況に合わせて、カウンセリングの奉仕チームを組むことができることを知りました。カナダでは1000人を超える規模の教会では、神学と心理学の両方の教育を受けた専門家がカウンセリングパスタ―として働いているケースが見受けられますが、多くの教会では牧師や教会リーダーがPastoral Careの範囲でのカウンセリングを対応するのが現状だと思います。

Guidance CounselingとPeople HelperはPastoral Careの中で教会の働きとして重要な位置づけを持っていて、Guidance Counselingの例としては、リージェントの創設メンバーの一人である、ジェームス・フーストン教授が長年携わってこられたメンタリング(1対1の対話を通して霊的な導き手となり、神学的な枠組みを持って人々をガイドする)の手法があり、People Helperになるためにはまず、「聴くことを通して人々を励ます」ことがあげられます。

そして、授業全体を通して
・自分がどのようなカウンセリングロール(role:役割)が性格上できるか理解する
・プロが対応すべき領域と教会で対応できる範囲を知る
・専門家(精神科医、臨床心理士)とのネットワークを持つ
ことが、教会で牧師としてリーダーとして奉仕するために必要なことだと学びました。

カナダと日本の環境の違いもあるので、将来、日本での牧会にどのように役立てることができるかについては、もっと深い学びをする必要がありそうですが、MDiv(牧会学修士)3年目の学びで、Introduction to Christian CounsellingChristian Counselling Laboratory の授業を履修して勉強したいと考えています。


















(アサバスカ氷河と青く澄んだカナディアンロッキーの空です)