2012年2月24日金曜日

「牧会魂」~Soul of Ministry~

今学期は、リージェントカレッジ牧会学修士プログラムの必須科目である、「Soul of Ministry」のコースを履修しています。この授業は牧師や宣教師、フルタイムで神さまのために働きたいという願いのある学生が、自分のCalling「招命」についてとことん考えるという授業です。毎週の講義+4人グループのディスカッションを通して、なぜ献身するのか?どのように教会に仕えるのか?について答えを探し求めます。「牧会魂」というと、ちょっと大げさな表現ですが、「Soul」という言葉の日本語訳にはいろいろな意味があり、「本質」とか「手本」とか「感情」、「判断力」という意味があるようです。

ちなみに授業の目的ですが。。(シラバスの抜粋です)
このコースを通して、学生は以下の理解を得ることとなります
1.神の宣教に携わる人間についての完全な理解を得ることができます。それは三位一体の神のイメージと、人間の罪と堕落の社会的・心理的影響を知ることにより、自分自身についての知識と神の知識(二重の知識)を得ることによって実現します。
2.生まれ育った文化や家族が、自己のアイデンティティ、道徳や霊性にどれだけ影響を与えてきたかを知り、自分の人格の強みと弱みと、神の救いのわざによる回復の両方について深く知ることができます。
3.創造から始まる人類に対する神の宣教のわざに、献身者として働く意味についての神学的理解と、個人それぞれに導かれる神からの招命(Calling)を深く知ることができます。
4.牧会者として「何すべきであり、すべきでないか」という基本的な問いから、教会の牧師およびリーダーの正しい役割と責任について理解を深め、牧会における過剰な期待やプレッシャーを和らげることができます。
牧師になるための準備として、とても大切な内容が含まれていると思いますが、「神学校に来てまで、もう一度自分の招命を問い直すか?」といった疑問もありました。ちょっと前に、日本で牧師をしている父親に話したところ、「こちらの神学校でするにはなかなか難しいカリキュラムだよね」との意見で、確かに神学校に入ってから「実は自分は牧師向きではなかった。。とか、神さまの招命は牧師以外のところにあった」という結論が出てしまったら、大変なことになると思います。事実、リージェントではこの授業を通して「牧会学修士」から別の専攻に変更したり、逆に「牧師」としてのCallingを発見したりということがよく起こるそうです。
「なぜ生涯をかけて、牧師という仕事に従事したいと思うのか?」その動機、そして何をもって仕えるのか?について深く掘り下げることは本当に大切なことだと思います。15歳で召しを頂いてから、10年かけて問い続けたCallingについてもう一度整理して考え直すことは自分にとってもチャレンジです!
「Soul of Ministry」の授業の中でVocation(天職:神さまから与えられた仕事)ついて学ぶ機会がありました。通常は「天職」というと職業を思い浮かべると思いますが、具体的な職業を考える前に、まず始めに人間であるという天職、クリスチャンであるという天職について考えることが大切であり、なぜ神さまは私をこの地上に人間として置かれたのか、なぜ私はクリスチャンになるように導かれたのかについて考えることが基礎であると教えられました。これは牧師だけでなく、全てのクリスチャンに当てはまることで、人間としての天職の場合、身体を大切に管理すること、夫として、親として家族のために時間を過ごすことは神さまから与えられた重要な使命であり、与えられた責務を果たすことが最優先であるということです。そして多くの間違いや問題は、職業を一番優先に置いてしまい、人間であることとクリスチャンであることを犠牲にしてしまうところから起こってくるということです。
ちなみに、あるべきVocationのバランスは、ウェディングケーキのような形であるのが望ましいというとのことです(下記のようなイメージです)















牧師やミニストリーに携わる場合、一番上のPersonal Vocationが極大化してしまい、アンバランスになるケースが多いということです。

カナダで勉強を始めてから神学校での勉強を超最優先に置いて頑張ってきましたが、妻や娘と過ごす時間や日曜日の礼拝に出席すること、友人と関わることも神さまから与えられた天職であると教えられ、これからの3年間を通してしっかり身に着けていきたいと思わされました。非常に恥ずかしい話ですが、娘と遊んでいる時間でも、宿題のことで気持ちは上の空であったり、夫婦で話す時間があったら勉強に回したいと普通に考えている自分がいて、もう一度生活全体をチェックする必要があります。これは将来の仕事で、本当に忙しく、追い詰められた時に何が一番大切なのか、優先順位を決められるトレーニングだと思っています。

この授業は、MDiv(牧師学修士)の責任者である、Ross Hastings教授と、学長でありクリスチャンカウンセリング分野のエキスパートである、Rod Wilson教授が担当し、心理学、牧会コンサルティング、緩和ケア、市場神学の専門家がゲスト講師として参加しています。
来年のインターン(Supervised Ministry) に向けて良い準備ができるように、しっかり勉強していきたいと思います。


















(ユーコンの冬の空は青く澄んでいて、とてもきれいでした)