2012年1月5日木曜日

講義外で教えてもらったこと

リージェントカレッジでは、学期中に各教授から個人指導を受ける時間を持つことができます。これが何回行ってもフリー(無料)で、教授の部屋の扉に貼ってある時間割シートに名前とメールアドレスを書き込むだけで、15分~30分の面談時間をもらうことができます。もちろん、人気のある教授は1週間‐2週間待ちということもありますが、論文指導だけでなく、信仰面や霊的な課題についてもいろいろ聞くことができるので、秋学期には時間と余裕があれば、個人指導の時間を持つようにしていました。(フリーだったら行かなきゃ損!という感覚が働きますが、各分野のプロフェッショナルから1対1で時間をもらえるというのは大きな特権だと思います)

今回はリージェントのMDiv(牧師学修士)コースの責任者である、Ross Hastings教授に、かねてから疑問であった、牧師としてのプロフェッショナリズム(プロ意識)とスピリチュアリズム(霊性)のバランスをどう取ったらいいか?という課題について聞いてみました。
私にとっては、牧師には熟練技術が必要であるというリック・ウォレン師の言葉(恐らく、『健康な教会へのかぎ』の中の一フレーズだったと思います)に非常に共鳴を感じた時期があり、将来牧師を目指すためにはどんなスキルセットが必要か・・ということについて真剣に考えた時期がありました。その一方で、教会の奉仕はプロフェッショナリズムを超えた霊的なわざ(聖霊の働き)に大きく依存する部分があり、牧師になるためには両方のバランスをどう取るか?ということに興味がありました。
教授の回答は、霊性が1番、プロフェッショナルが2番という簡潔な答えでした。「しかし、牧師という立場が教会の中で非常にパワーを持っている立場であることを忘れてはいけません。大きな影響力を持つが故に、プロフェッショナルであることを追求するべきです」、「だが、ビジネスの世界におけるプロフェッショナリズムに染まってはいけない、ただ純粋にプロフェッショナルである必要がある」と話してくださいました。更に「特に牧師という仕事は自己実現・自己達成にならないように気を付けなければいけません。牧会の中で、自分のアチーブメントを追及するときに間違いや誤りが起こり、不健全になります。そしてしばしば、神ではなく人を喜ばせようとしてしまう。人を喜ばせようとすることは牧会におけるもっとも大きな誘惑です」
・・・日本の教会ではあまり強調されない牧会におけるプロフェッショナルの考え方ですが、教授が否定をせずにむしろ勧められたところに感動しました。開拓、中規模、大規模教会と3つの種類の牧会を経験されてこられた先生だけに、一つ一つのことばに説得力がありました。

「牧師という立場は、教会の中のリーダーとしての役割がありますが、教会員よりも立場が上であるということは決してありません。むしろ牧師は、教会員一人一人が神の祭司として、どうしたら神の知恵を身に着けて(equip)もらうことができるか?というミッションを持っています」
牧会における霊性については、ジェームス・フーストン教授のThe Transforming Power of Prayer(邦題:神との友情)を紹介してくださいました。霊性の訓練として、「祈りを積み上げることで神の関係を造るのではなく、祈りそのものが神さまと関係を持つことであることを学びなさい」と励ましの言葉を下さいました。
Ross Hastings教授と学長であるRod Wilson教授が担当される、冬学期の「Soul of Ministry」は、牧師としての招命や霊性について掘り下げる授業ですが、2年目以降の必須科目である「Pastoral Care」や「Empowering the Church for Re-Evangelization」、「Pastoral Ethics」あたりの授業が牧会プロフェッショナルのど真ん中を突く授業だと紹介して下さいました。今は1年目を乗り切るので精一杯ですが、2‐3年目の授業でしっかり勉強できるように、リージェントでの学びを積み上げていこうと思います。


 


(久しぶりに晴れた空をみることができました・・・バンクーバーの冬はほとんど曇りか雨です)