2011年10月10日月曜日

リージェント・カレッジの紹介

新しい友達に出会うたびに「なんで日本からリージェントに来たの?」と必ず聞かれます。これだけ日本人がたくさん住んでいるバンクーバーでたった一人の日本人学生なので、当たり前の質問だと思います。1学年が約150人程いるリージェントの中で、うち3割がアジア・ヨーロッパ・アフリカからの学生で、学生が多い順番で言うと、中国・イギリス・シンガポール・香港・南アフリカ・韓国といった感じです。海外の神学校に行くことを決めた2007年(4年前)には、リージェント・カレッジを第一志望に準備を始めることになりましたが、今回はまず、神学校の紹介をさせて頂きます。


















リージェントカレッジは1968年創立。1960年代にカナダ・バンクーバー地域のクリスチャンの実業家と大学教授たちが、牧師を養成する教育だけでなく、全クリスチャンを対象とした神学教育の実現についてディスカッションと祈りを重ね、「一般社会(企業など)」、「教会」そして「教育機関」に仕えるクリスチャンを対象とした神学教育を目指して設立されました。1968年、1969年と2年にわたる夏季講座開講の後、1970年の初年度には6名の学生の入学が決まりましたが、そのうちの2名は授業が始まる2週間前に交通事故で亡くなり、神学校最初の公の集会は2名の学生の葬儀から始まりました。この出来事は神学校に大きな影響を与え、信仰の領域における人間の「弱さやもろさ-Frailty」と「不安定であったり傷ついている部分-Brokenness」を神学教育に反映させることとなりました。(創設当時のメンバーはこの出来事によって本当に傷つき、言葉にできない痛みを経験しました)その後、リージェントカレッジは40年に渡り、国際的な多様性と多くの神学教育の試みを続け、その歩みを続けてきました。現在、カナダの福音主義の神学校としては最大規模のフルタイムで350名、パートタイムも含めると1,000名以上の学生が学んでいます。クリスチャンの霊性について、福音主義の立場から考察する「霊性の神学」を始めた神学校であり、「神学校」、「市場(企業)」、「教会」の3つの繋がりと関係を構築するための「市場神学-Marketplace theology‐」の講座と実行機関を持っています。そしてリージェントカレッジは、聖書に書かれている「地の塩、世の光」というクリスチャンにとって大切な使命を反映するために、カナダで2番目に大きい大学であるブリティッシュ・コロンビア大学内にキャンパスを置き、提携関係にあります。(以上が紹介です)

さて、最初の質問に戻りますが、私が数多くの神学校の中からリージェントカレッジに興味を持ち、学びを始めることになったのは、牧師として必要な聖書の基本的な学びやクリスチャンの歴史の理解に加えて、
「霊性の神学に興味があり、クリスチャンとしてのあるべき霊的生活とは何か?についてしっかり学んでみたい」
「10年会社で働いた経験を用いて、社会の現場で必要とされる聖書のメッセージと教会がチャレンジできる働きについて考えたい」
という願いがあったからです。まだ学び始めて数週間ですが、非常にアカデミック(学術的)で高いレベルの学びが求められる一方で、人間の弱さや過去の心の傷、霊的な貧しささえもオープンにし、神学校でのコミュニティ(人間関係)を通して励まされ、建てあげられていく雰囲気があり、リージェントカレッジで学びを始めることができたことを心から主に感謝しています。オリエンテーションでは理事長が挨拶の中で、40年前の交通事故で亡くなった2人の学生の名前を読み上げ、大きな挫折、痛みから始まったこの神学校のコミュニティがなぜ人間の弱さや傷、壊れやすさに対して特別な思いをもって関わってきたか、そして40年にわたる神学校の祝福がどこから始まったのか、分かりやすいメッセージで語ってくださいました。
「良いもの、強いもの、効率的なもの」をひたすら求める競争社会の中にあって、真に知恵深く生きるためには自分の弱さや傷にしっかり向き合い、受け止めていく能力が必要だと思っています。クリスチャンであっても気を付けないと、聞きやすいサクセスストーリーや心地よいメッセージに注目しがちで、考えたくない負の部分にはなかなか真正面から向き合い辛いこともあると思います。人間の「Frailty」と「Brokenness」を考えるとき、「私が弱い時にこそ、私は強いからです。」とパウロがコリント書で語った聖書の言葉を覚えさせられます。

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