2012年11月25日日曜日

Supervised Ministry(インターンシップ)の紹介

牧会学修士(Master of Divinity)のプログラムに所属する学生は教会、もしくはキリスト教関係の団体でインターンシップを1年間することが必須となっています。Supervised Ministryという授業がインターンシップに関わる必須科目であり、学校外部のSupervisorとミニストリーを行う場所を自分で探してきて、秋学期・冬学期を通しての約8ヶ月間に渡って、週8時間の実習を行うことになっています。

実習だけであれば、教会で行っている奉仕をレポートするだけでいい。。ということになりそうですが、このコースは隔週のケーススタディとリーディングの課題も課され、実習と同時にReflection(自己内省)も出来るようにデザインされています。

ケーススタディも非常に実践的な内容であり、例えば、

「あなたの教会には2つの顕著に別れたグループがあります。一つは現代的なワーシップを様々な楽器を用いて賛美することに傾倒しており、もう一つのグループは讃美歌を好み、プロジェクターに映し出される歌詞を何度も繰り返すことを好まないグループです。そこで、教会を始めた3つの中心的な家族(後者のグループに属する)のうちの1組のカップルが牧師であるあなたのところに来て、『もし現代的なワーシップを変えるつもりがないなら、自分たちと残りの2家族は教会を去るつもりである』ということを話に来ました。彼らは教会のリーダーシップ(役員会)には入っていませんが、教会の中では非常に大きな影響を持った家族です。そして、もし大きな変化が起こらなければ、他の幾人かのメンバーも教会を離れるという話があることも指摘してきました。さてあなたはどうしますか?」

かなり極端に思えるケースですが、こちら(カナダ)では、賛美の趣向と女性のリーダーシップについて、教会を割るような議論になることがあるそうです。

Supervised Ministryの授業でのアプローチですが、まず解決方法を考える前に、これらのコメントや起こった出来事に対する牧会者として自身の感情(emotion)をチェックするところから始まります。牧会における意見の相違や摩擦は常に起こることであり、フラストレーションは自身の期待がかなえられないところに発生してきます。それぞれの経験から生まれてくる基準や期待がかなわないときに出てくるフラストレーションは避けられない循環(サイクル)であり、クリスチャンとしての成熟が最も問われる(テストされる)分野であることを知ることが大切です。自分の期待を絶対的にしないという能力は謙遜(humility)に関わるところであり、「他の人が自分が正しいと思えることを必ずしも守る必要はない」という考え方を持てるかどうかがクリスチャンとしての謙遜があるかないかということになるとのことです。

具体的な解決方法は?と聞きたくなりますが、いくつものケーススタディを通して、
1.自己内省(自分を見ることで状況を客観的にとらえる)
2.他者の分析、起こっている問題の深い理解 
3.解決案の検討
(状況の洞察と神学的な解釈に基づいて行う)
この3プロセスを用いることを学んでいると思います。

Supervised Ministryは8ヵ月間を通じて、6人のメンバーが1つのグループとしてケーススタディを行い、ミニストリーのレポートを共有します。それぞれの祈りの課題がレポートと一緒に共有され、励まし合う関係が作り上げられていきますが、秋学期の途中に行った教会訪問は忘れられない経験になりました。1日かけて6人それぞれの教会を巡り、各メンバーが30-40分ぐらいかけて自分の担当するミニストリーと祈祷課題を各教会の会堂で共有し、最後に輪になって祈りあうというツアーをしました。ダウンタウンのメガチャーチ、UBC(ブリティッシュコロンビア大学)内のコミュニティチャーチ、韓国系の教会、歴史ある改革派の教会、日系人教会とバラエティに富んだ各教会の中身を知り、祈りあうことのできる経験は多くの示唆と学びを得ることができました。

私自身のインターンはバンクーバー日系人福音教会でユースミニストリーを中心に担当させて頂いています。今年の9月から午後にユース向けの礼拝を始めたばかりで、たくさんの日本人留学生、ワーキングホリデーの方々と関わる機会を持つことができて、リージェントでの学びを実践に適用する良い機会をもらっていると思います。海外の神学校で学びながら多くの日本人にアウトリーチできる環境は、将来の牧会に非常に役に立つ経験を頂けると思います。



















(ビクトリアの晴れた空もすごく澄んでいてきれいでした)